埼玉県鴻巣市でパトカーから逃走、衝突して刑事事件化
埼玉県在住の会社員Aさんは、埼玉県鴻巣市の道路で駐車して、携帯電話のアプリでゲームをしていたところ、パトカーに乗った埼玉県警鴻巣警察署の警察官から職務質問を受けました。
2人組の警察官の質問をされてあまりに動顛してしまったAさんは、自分が何らかの法令違反をしてしまい、刑事処罰を受けることになるのではないかと思い込んで、何とか警察官から逃れようとして自動車を走らせ逃走しました。
ところが、Aさんは自動車で逃走したものの、動揺のあまり急ハンドルを切ってしまい、Aさんを追いかけていたパトカーと前後で衝突して停車しました。
Aさんは、追ってきたパトカーの警察官によって、器物損壊罪および公務執行妨害罪の疑いで警察署に連行され事情聴取を求められました。
警察の調べに対し、Aさんは「警察に事情聴取を求められ恐くなってしまった」と被疑事実を認めていますが、警察は逃走の動機について調べを進めています。
(フィクションです。)
刑事事件の発端として、捜査機関(主に警察)が、様々な情報を仕入れて犯罪の疑いがある事実を認識するところからスタートすることが挙げられます。
警察官の職務遂行に伴う権利義務を規定する「犯罪捜査規範」によれば、「警察官は、新聞紙その他の出版物の記事、インターネットを利用して提供される情報、匿名の申告、風説その他広く社会の事象に注意するとともに、警ら、職務質問等の励行により、進んで捜査の端緒を得ることに努めなければならない。」とされており、実際に犯罪が発生しているのかを確かめるためにも、犯罪の「疑い」があれば、積極的に職務質問等の任意の捜査を行い、市民の治安を保全することが推奨されています。
昨今では、スマートフォンの爆発的普及により、道端等でもゲームアプリやSNS、通信アプリを使うために立ち止まって端末機器等を操作する方も至る所で散見されており、特に夜道や人通りの少ない場所、立ち止まるにふさわしくない場所等で思慮なく動かずにいた場合、客観的に見て「不審な状況」と判断され、事情聴取を求められてしまうこともあるでしょう。
なお、上記刑事事件例は、今年3月16日、自営業の男性が、東京・豊島区西池袋で車に乗っていたところ警察官に職務質問を受けたものの、そのまま逃走し、パトカーとカーチェイスとなった末、パトカーに車をぶつけたとして、器物損壊罪と公務執行妨害罪の疑いで刑事事件化した例をモデルにしています。
器物損壊罪は、他人の物を損壊・傷害した場合、3年以下の懲役または30万円以下の罰金を科すとしていますが、刑法の一般原則として、犯罪には故意が必要(刑法第38条第1項)であるため、単に運転をミスして過失で他人の物を損壊した場合には、民事上の責任を負うことは別として、器物損壊罪が成立することはありません。
上記の例で言えば、意図的に自分の自動車をパトカーにぶつけて逃走を容易にしようとした場合には器物損壊罪が成立する余地があると考えられます。
また、公務執行妨害罪は、職務を遂行している公務員に対して暴行または脅迫を加えた場合、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金を科すとしており、こちらも「暴行または脅迫」が要件となっているため、警察官から逃走するために、わざとパトカーに自動車をぶつけたという事情がある場合に公務執行妨害罪が成立するに留まると考えるべきでしょう。
いずれにせよ、ただ純粋に恐くなってしまったためにパトカーから逃走したのであれば、上記刑事事件例で示した器物損壊罪や公務執行妨害罪で処罰される心配はほとんどないと感がられます。
ただし、逃走の動機として、例えば、違法薬物や凶器、児童ポルノ等の所持しているだけで犯罪が成立するおそれがある何らかの事情が捜査機関に知られた場合には、別途別の疑いで刑事事件化する可能性がありますので、お悩みの方は刑事事件に詳しい弁護士に早急に相談し、成立する罪の見込みを知るのが良いでしょう。
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(埼玉県警鴻巣警察署への初回接見費用:37,700円)