埼玉県さいたま市でチケットのネット売買詐欺
埼玉県さいたま市在住の無職Aさんは、ネットオークションにおいて、人気アーティストのライブチケットが余っていると虚偽の説明を加えて、正規のチケット代金の3倍の金額を購入希望者から振り込ませました。チケットの発送予定日になってもチケットが届かないことに不安を覚えた購入者Vさんは、販売者のAさんにチケットの発送状況を確認したところ、「友人にチケットを譲ることになり、チケットを売ることができなくなりました。料金は後日お返しします。」と返答があったものの、1週間が経過しても振込の連絡がないため、埼玉県警大宮西警察署に詐欺の疑いがあるとして被害を訴えたところ、警察は他にも同様の詐欺被害が寄せられているとして、後日、Aさんを詐欺罪の疑いで逮捕しました。
警察の調べに対し、Aさんは「詐欺のつもりはない。売買契約の成立後商品を送ることができなくなったので料金は返すつもりだった」と供述しています。
(フィクションです。)
人気アーティストやミュージシャンのコンサート、ライブチケットなど、発売数が限定されている商品を多数仕入れ、完売となった後にネットオークション等を通じて市場価値が高まった商品を高額で売りつけて利益をあげる、いわゆる「転売屋」の問題が昨今問題となっています。
この転売屋対策として、コンサートやライブ等の開催者側はチケットに番号を通したり、入場の際に本人確認等を求める等の対応で対策を取っていましたが、関連業界からの強い後押しもあり、チケット不正転売を禁止する法案が昨年12月に可決しました。
チケットの転売を禁止するこの法案は、今年の6月14日から施行される予定で、法律施行後は、座席等が指定されたうえ購入者の名前が券面に記されているスポーツや音楽といったチケットについて、インターネット上も含め、販売価格を超える金額で転売を行う違反をした場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されることになります。
また、上記のように、個人間で売買取引を行うネットオークションを通じて、実際には商品を送ることができない、またその見込みが極めて少ないにも関わらず、商品やサービスの提供を持ちかける詐欺的なネット売買も問題となっており、実際に刑事事件化や逮捕に至った例も出てきています。
今年1月20日、ツイッターにチケットの買い取り希望を書き込んだ被害者に対し、「チケットを余らせている」などと虚偽のメッセージを送り、現金5万円を自分の口座に送金させたとして、名古屋市の18歳の少女が詐欺罪の疑いで逮捕されました。
被疑者は、「最初から詐欺をしようとしたわけではなく、友人からもらうはずのチケットを入手できなくなったため渡せなかった」として詐欺事実を否認しています。
確かに、詐欺罪が成立するためには、詐欺の故意、つまり、正当な商品やサービスを提供することをせず、相手方を欺いて金銭を交付させる等の財産的損害を与える意思が必要とされています(刑法第38条第1項)。
ただし、犯罪の故意とは、犯罪事実を明確に認識しているだけでなく、罪となる事実の認識を予見すれば足り、その予見も確定的である必要はないとされています(最高裁判例)。
上記被疑者の詐欺事実の否認に対して、捜査機関は、被疑者の友人に対して本当にチケットを譲る予定であったのかと厳しい追及がされることが予想されます。
詐欺を含め、犯罪の故意を否認する場合には、捜査開始の初期から徹底した捜査対応を行うことが望ましく、刑事事件に詳しい弁護士によるサポートが不可欠と言えます。
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(埼玉県警大宮西警察署への初回接見費用:37,200円)