【報道解説】自殺幇助未遂で逮捕

【報道解説】自殺幇助未遂で逮捕

自殺幇助未遂の疑いで埼玉県警吉川警察署に逮捕された刑事事件例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【報道紹介】

「交流サイト(SNS)で知り合った女性の自殺を手助けしようとしたとして、埼玉県警吉川署は17日、自殺ほう助未遂の疑いで、茨城県常総市本石下、無職の男(51)を逮捕した。
逮捕容疑は昨年12月20日午後8時27分ごろ、事前にSNSで自殺をほのめかす投稿を行った三郷市の20代女性に対してダイレクトメッセージを送信するなどして連絡を取り、女性を茨城県つくば市内のつくばエクスプレスつくば駅まで誘い出し、自身が運転する車に乗せ自殺を手助けしようとした疑い。
同署によると、被害女性は車から降り、同市内にあるコンビニエンスストアまで逃走し夫に連絡。
夫が『妻が行方不明になった』などと110番し、警察官が女性を保護。
付近の飲食店にいた男を確保した。女性にけがはなかった。
2人に面識はなく、昨年12月12日ごろからコミュニケーションアプリで自殺をする趣旨のやりとりをしていたという。
男は『自殺を助けるつもりはありませんでした』と容疑を否認しているという。」
(令和5年1月18日に埼玉新聞で配信された報道より引用)

【「自殺ほう助の未遂」ってどんな罪?】

他人の生命を奪う行為は刑法199条の殺人罪に当たる可能性がある行為ですが、自分で自分の生命を絶つ行為については現在の刑法では処罰の対象にはなりません。
そのため、自殺行為そのものは何かの犯罪に当たるという訳ではありません。

ただ、現行の刑法では、自殺行為に自殺者以外の他人が関与した場合には、その他人が関与した行為を処罰の対象にしています。
具体的に条文を挙げて説明すると、刑法202条の前段では、「人を教唆し若しくは幇助して自殺させ」た者を6か月以上7年以下の懲役又は禁錮に処すると規定しています。

この刑法202条前段を読むと、刑法202条前段には、人を教唆(きょうさ)して自殺させることと人を幇助(ほうじょ)して自殺させることの2つの行為を規定していることに気が付くかと思います。
人を教唆し自殺させるというのは、まだ自殺を決意していない人をそそのかして自殺させる事を意味していて、これを自殺教唆罪といいます。

他方、人を幇助して自殺させることというのは、自殺者が自殺を行うにあたって自殺の実行を物理的または精神的に容易にする行為をすることを意味していて、これを自殺幇助罪といいます。
そして、この自殺教唆罪と自殺幇助罪を併せて自殺関与罪ということがあります。

自殺をそそのかしたり自殺を幇助したりして実際に自殺者が自殺を実行した場合は、それぞれ自殺教唆罪の既遂と自殺幇助罪の既遂が成立することになりますので、刑法202条前段によって処罰の対象になります。
これに加えて、刑法203条では自殺関与罪の未遂を処罰の対象にしていますので、実際に自殺者が自殺を実行しなくても、自殺をそそのかしたり幇助したりした時点で、自殺教唆罪の未遂と自殺幇助罪の未遂がそれぞれ成立することになって処罰の対象になります。
自殺教唆罪の未遂や自殺幇助罪の未遂の法定刑は、既遂の場合と同じで、6か月以上7年以下の懲役又は禁錮となっています(ただし、刑法43条によって刑を減軽することができます)。

【自殺関与罪で警察の捜査を受けてお困りの方は】

自殺関与罪(自殺教唆罪または自殺幇助罪)は法定刑に罰金が定められていませんので、捜査の結果、検察官が起訴をするという判断を下した場合、必ず正式な刑事裁判が開かれて審理されることになります。
これは自殺関与罪の未遂(自殺教唆罪の未遂または自殺幇助罪の未遂)の場合でも一緒です。

ただ、捜査の早い段階から、弁護士を弁護人として選任して、その都度適切な刑事弁護活動を受けることができれば、最終的に検察官から起訴をしないという不起訴処分を獲得して、前科が付くことを回避するということも可能な場合があるでしょう。
そのため、自殺関与罪(自殺教唆罪または自殺幇助罪)や自殺関与罪の未遂(自殺教唆罪の未遂または自殺幇助罪の未遂)で警察の捜査を受けられている方は、いちはやく弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県で自殺関与罪(自殺教唆罪または自殺幇助罪)や自殺関与罪の未遂(自殺教唆罪の未遂または自殺幇助罪の未遂で警察の捜査を受けてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください。

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