【報道解説】特殊詐欺の多様化 特殊詐欺に対する警察対応の強化の傾向

埼玉県で多様化する特殊詐欺の情報と、特殊詐欺に対する警察の取り組みの強化傾向を示しつつ、特殊詐欺に関わってしまった場合の刑事弁護の必要性について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
【報道紹介】
埼玉県内で警察官などを装ってお金をだまし取ろうとする「オレオレ詐欺」でSNSを利用したケースが起きており、県警は詐欺グループが実際に送ってきた偽の逮捕状画像などを公開して、類似した手口にだまされないよう訴えている。
埼玉県警組織犯罪対策課によると今年1月31日、県内の50代男性の携帯電話に警視庁の警察官を名乗る男から電話があった。
「埼玉県で逮捕した犯人があなたの情報を持っている」として、話を聞くためにLINEの連絡先登録を求めたという。
男性が登録したところ、今度は埼玉県警の警察官を名乗る男がビデオ通話してきて免許証の提示を求め、代わって登場した検察官を名乗る男が「逮捕状」「凍結捜査差押(さしおさえ)許可状」と表記された書類の画像データを送ってきた。
再び画面に出た愛知県警を名乗る男は「口座凍結をするので指定口座にお金を移してほしい」と求めたが、男性は地元の警察署に相談して被害を免れた。
書類には男性の実名が印字されており、同課の担当者は「文章や書式を警察官が見たらすぐ偽物とわかるが、一般の方は驚くのではないか」と話す。
警察庁は特殊詐欺のうち、他人が親族、警察官、弁護士らを装って事件・事故の示談などを名目に金銭をだまし取る手口を「オレオレ詐欺」に分類している。
県警によると電話だけでなくSNSを使って警察官などをかたるオレオレ詐欺は増えており、最初に電話で遠方の警察の担当者を装って出頭を求め、相手が断ると代わりにオンラインでのやりとりに誘導する手口が見受けられるという。
埼玉県警は「警察官が職務でSNSのアカウント交換やビデオ通話を求めたり、逮捕状などをSNSで送信したりはしない」として注意を促している。
(令和7年2月20日づけ朝日新聞の記事における愛媛県警察の取り組みを参考に、場所や組織等の一部事実を改変したフィクションです。)
【特殊詐欺の概要】
特殊詐欺は、詐欺罪に該当する犯罪行為です。
詐欺罪は、刑法246条に定義されており、「人を欺いて財物を交付させる行為」を犯罪とします。
特殊詐欺の場合、加害者は巧妙な手口で被害者を騙し、金銭や財物をだまし取ります。
特殊詐欺の法的な特徴は、その計画性と組織性にあります。
加害者は、しばしば複数人で協力し、計画的に詐欺を行います。
このため、刑法上の共同正犯(共犯)の概念が適用されることが多いです。
共同正犯とは、複数の人が共謀して犯罪を行った場合、全員がその犯罪の正犯とみなされることを意味します。
刑法60条により、共同で犯罪を行った者は、他の共犯者の行為についても責任を負うことになります。
特殊詐欺においては、昨今では「ブラックバイト」の名でも認知されるとおり、目先のお金欲しさの若者が知らずに組織的な詐欺行為に加担することもありますが、法的には無知は免罪事由にはなりません。
したがって、詐欺行為に関与した場合、その程度に関わらず共犯者として詐欺罪の刑法上の責任を問われる可能性があります。
【特殊詐欺の手口】
特殊詐欺の加害者は、様々な手口を用いて被害者を騙します。これらの手口は巧妙で、被害者が気付かないうちに詐欺に巻き込まれることが多いです。
- 電話による詐欺
最も一般的な手口の一つが、電話を使った詐欺です。加害者は警察官や銀行員を装い、被害者に不安を煽って金銭を要求します。 - インターネットを利用した詐欺
SNSやメールを通じて、高収入を謳うアルバイトを募集し、実際は違法な活動に関与させる手口もあります。 - 身近な人を装う
被害者の家族や知人を装い、緊急を要する事態を偽装して金銭を要求する手口も見られます。 - 金融商品の詐欺
高いリターンを約束する投資詐欺も特殊詐欺の一形態です。被害者は、実在しない金融商品に投資するよう誘導されます。 - 身元不明の第三者を利用
知らないうちに詐欺の一部となる「ブラックバイト」のように、身元不明の第三者を利用する手口もあります。
【特殊詐欺に対する処罰の傾向】
特殊詐欺に対する法的対策として、昨今では、加害者に対する厳罰化と被害者保護の強化が進んでいます。
特殊詐欺の摘発を強化するため、警察庁は今年12月13日、来年4月に全都道府県警が参加する「連合捜査班」を設置するほか、地方で起きた事件の捜査支援に当たる専従捜査員を首都圏などの7都府県警に計約500人配置すると発表しています。
- 詐欺罪の法定刑
詐欺罪の法定刑は、刑法246条により10年以下の懲役です。
特殊詐欺は、その巧妙な手口と社会的影響から、昨今では特に重い刑罰が科され傾向が見受けられます。 - 共同正犯の適用
特殊詐欺においては、共同正犯の原則が適用されることが多いです。これにより、詐欺行為に直接関与しなくても、共謀した全員が同等の責任を負うことになります。 - 未遂犯の扱い
詐欺の未遂犯に対しても、法定刑は既遂犯と同様に10年以下の懲役となります。
【特殊詐欺に対する刑事弁護】
ご家族の中に、特殊詐欺に関わってしまったことで警察に詐欺の疑いで逮捕されてしまった方がいる場合には、弁護士に依頼して初回接見に行ってもらうことをお勧めします。
初回接見によって、弁護士が警察の留置場で拘束されているご家族の方から直接事件についてお話を聞くことができますので、事件の見通しや今後の手続の流れ、弁護士が取ることができる刑事弁護活動などについて知ることができるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県でご家族が特殊詐欺で警察に捕まってお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください。

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