【報道解説】業務上横領罪で逮捕 示談交渉で軽い処分を目指す
埼玉県で業務上横領の疑いで逮捕されたケースについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
【報道紹介】
勤務先の調剤薬局で薬を着服したとして、埼玉県警上尾署は3日までに、業務上横領の疑いで、埼玉県上尾市の薬剤師の男(43)を再逮捕した。
再逮捕容疑は、昨年4から10月にかけて計27回にわたり、当時勤務していた上尾市の調剤薬局で、店長で管理薬剤師として管理していた睡眠導入剤の向精神薬5種類計1万2300錠(仕入価格計10万1040円)を着服し、横領した疑い。
上尾警察署は捜査に支障があるとして認否を明かしていない。
同薬局を運営する会社の関係者が昨年11月、薬の在庫が合わないことに気付き「従業員が横領しているのではないか」と同署に相談していた。
男は今年11月、同様の業務上横領容疑で逮捕されていた。
(令和6年12月4日に上毛新聞で配信された報道より、場所等の事実を一部変更したフィクションです。)
【罪が重い業務上横領罪】
今回取り上げた報道では、男性が業務上横領罪の疑いで逮捕されています。
業務上横領罪は刑法253条に規定する犯罪で、「業務上自己の占有する他人の物を横領した」場合に成立する犯罪です。
業務上横領罪が成立する場合としては、会社から割り当てられた業務として会社の備品を管理する業務を担っていた人が管理している会社の備品を転売した場合や、経理として会社の口座を管理している人が会社の口座から自分の口座へと送金して会社の資金を着服した場合などが考えられます。
このような業務上横領罪の法定刑は10年以下の懲役刑となっています。
法定刑に罰金が定められていませんので、仮に検察官が業務上横領罪で起訴するという判断をした場合は、略式起訴することができず正式な裁判が開かれることになります。
【業務上横領罪が会社に発覚したら】
会社の資金を着服してしまったなどの業務上横領罪に当たる行為をしてしまった場合は、弁護士に今後の対応についてご相談されることをお勧めします。
業務上横領罪については、まず最初に会社内部で調査が行われて、調査の結果、会社が業務上横領罪について刑事告訴をしたところで警察などの捜査機関が捜査に乗り出すという流れで刑事事件化することが多いです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部に寄せられる業務上横領の相談事例についても、まず会社側が業務上横領の事実を認識し、横領が疑われている方と会社側で話し合いを行い、横領した金額を返せば、会社側は被害届や刑事告訴を行わないと申し入れるケースが見受けられます。
そのため、業務上横領罪について会社が被害届や刑事告訴する前に、弁護士を通して会社に対して謝罪や横領金額の返金などの示談交渉をして、会社が謝罪と被害の弁済を受け入れてくれるといった形で会社と示談を締結することができれば、警察が業務上横領罪について捜査に乗り出す前に当事者間で事件を解決することができる場合があります。
また、被害を受けた会社側も、少しでも横領された金額が返金されることを望むことが多いので、横領を疑われている方の段階的な財産処分を通じて被害弁償をすることで、事実上の示談が成立することもあり得ます。
このように業務上横領罪を刑事事件化する前に当事者間で示談ができれば業務上横領罪の前科を付けずに事件を解決することができるでしょう。
そのような解決を目指すには、業務上横領罪が会社に発覚してから、少しでも早く弁護士に相談することが重要になります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県で業務上横領罪が会社に発覚してお困りの方や、業務上横領罪の前科を付けたくないとお考えの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください。