【報道解説】埼玉県熊谷市で不同意性交等罪 事件化前・逮捕前の自首を考えるなら

【報道解説】埼玉県熊谷市で不同意性交等罪 事件化前・逮捕前の自首を考えるなら

「不同意性交等罪」の逮捕事案に伴う弁護活動と自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【報道事例】

埼玉県川口市内の公園で16歳未満の少女に性的暴行をしたとして19歳のアルバイト店員が逮捕されました。
警察によりますと令和5年7月22日夜、埼玉県川口市内の公園の多目的トイレで、オンラインゲームで知り合った16歳未満の少女に対し、性的暴行をした疑いが持たれています。
当日、少女の帰宅が遅いことを不審に思った親が本人に確認したところ被害が発覚し、その後、男が警察に出頭してきたため逮捕されたということです。
(令和5年7月26日に配信された「高知 NEWS WEB」の記事を基に、一部事実を変更したフィクションです。)

【刑法改定:不同意性交等罪】

令和5年7月13日、従来の「強制性交等罪」から「不同意性交等罪」への法改正が施行されました。

不同意性交等罪への変更の背景には、近年における性犯罪をめぐる状況に鑑み、構成要件の明確化と細分化を進め、以てこの種の性犯罪に適切に対処する必要があるとの理由に基づいています。

このたびの刑法改正により、旧刑法の「強制わいせつ罪」「準強制わいせつ罪」を統合して「不同意わいせつ罪」、旧刑法の「強制性交等罪」「準強制性交等罪」を統合して「不同意性交等罪」を規定することになりました。
あわせて、性犯罪についての公訴時効期間の延長や、被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則の新設なども盛り込まれています。

【不同意性交等罪とは】

刑法改定後の不同意性交等罪では、「次のような行為」等により、被害者の真の同意を得ることなく性交等を行った場合に、婚姻関係の有無にかかわらず処罰されることになります(刑法第177条第1項)。

「次のような行為」とは、「暴行若しくは脅迫」、「心身の障害(おそれも含む)」、「アルコール若しくは薬物の摂取」、「睡眠その他の意識不明瞭状態」、「不同意を形成・表明するいとまがない」、「予想と異なる事態への恐怖・驚愕」「虐待に起因する心理的反応」、「経済的・社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること」の8項目が列挙されています。

上記報道事例の記事によれば、「性的暴行」つまり「暴行・脅迫」による不同意の性交であると思われます。
この点、「暴行・脅迫」による不同意の性交は、事実上は、法改正前の「強制性交等罪」とほぼ同じ犯罪であり、「強制性交等罪」における「暴行・脅迫」は、被害者の犯行を著しく困難にする程度のもので足り、犯行を抑圧する程度に達する必要は無い(最高裁判例)と広く解釈・運用されていました。

このような「暴行・脅迫」による不同意の性交では、被害者との同意の有無を争ったり、同意があったと錯誤したと不同意性の否認を主張することは、非常に難しいと思われます。

【自首が成立する要件】

・刑法42条1項 (自首等)
「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」

ただし、「犯人が、捜査機関が既に事件や犯人を知っている段階で、自己の犯罪事実を申告した」場合には、これは自首成立とはならず、単なる警察署への任意出頭となります。
そこで、どのような要件のもとで自己の犯罪事実を申告することで「自首」が成立し、自首による刑罰減軽の効果を受けられるのでしょうか。

裁判所の判例によると、自首成立の要件となる「捜査機関に発覚する前」とは、「犯罪事実が全く捜査機関に発覚していない場合」に加えて、「犯罪事実は発覚しているが、その犯人が誰であるか全く発覚していない場合」にも、自首が成立するとされています。

例えば、既に痴漢被害者から被害届が警察に提出されている事件につき、後から犯人が警察に自首したような場合には、犯人が誰であるか全く発覚していなければ、自首成立による刑罰減軽の可能性があります。
一方で、犯人が警察に自首しようとした時点で、被害届や目撃証言の情報等から、既に犯人が誰であるかの目星が付いていたり、犯人に関しての有力な手掛かりがある捜査状況だとすれば、自首は成立しないおそれが考えられます。

また、自首は、犯人が自発的に申告することを要件としています。
警察官の職務質問や取調べを受けた際に、嫌疑となっている事件につき事実を認めたとしても、自発的申告ではないため、自首は成立しないと考えられます。
犯人を特定せずに犯罪事実を申告したり、他人の犯罪事実について申告した結果として、自己の犯罪事実が発覚した場合にも、「自己の犯罪事実の申告」には当たらず、自首は成立しないとされています。
自分の側から自らの罪を認めて、潔く責任を取ったり刑事処罰を受ける意思を示すことで、自首成立による刑罰減軽の効果が認められるものと考えられます。

【自首を検討するなら弁護士に相談を】

このように、すべて自分の犯行を供述すれば自首が成立するとは限らず、とはいえ、犯行の自己申告がまったく無意味なものでは無いという事情もあることから、刑法上の「自首」の成立可否に関わらず、広い意味で犯行を自己申告したいとお悩みの方は、刑事事件に詳しい弁護士に事前に法律相談を行い、刑事手続きにおける自分の立ち位置を選択することが非常に重要となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所で、示談交渉の経験が豊富な弁護士が在籍しております。
埼玉県熊谷市における不同意性交等罪の性犯罪でお悩みの方、自首を考えている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料相談や初回接見サービスをご利用ください。

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