【報道解説】埼玉県で改造玩具拳銃所持の銃刀法違反で逮捕
刃物を外に持ち出すなどして銃刀法違反で警察沙汰になった場合の、一般的な刑事手続きと刑事責任ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【報道紹介】
実弾を発射できる構造をもつおもちゃの拳銃1丁を中国から輸入したとして埼玉県の男性が銃刀法違反の疑いで書類送検されました。調べに対し、「通販サイトで興味本位で購入した」などと供述しているということです。
書類送検されたのは埼玉県越谷市に住む自営業の53歳の男性です。
警察によりますと今年5月、実弾を発射できる構造をもつおもちゃの拳銃1丁を中国から関西空港経由で輸入したとして銃刀法違反の疑いが持たれています。
税関が見つけて警察に連絡しました。
拳銃はプラスチック製で一見すると、おもちゃに見えますが警察が調べたところ、金属の実弾を発射する機能があると確認されたということです。
調べに対し、「中国の商品を扱う通販サイトで1000円ほどだった。興味本位で購入したが違法な拳銃だとは思わなかった」などと供述しているということです。
同じような見かけがおもちゃで実弾を発射できる構造の拳銃は国内のゲームセンターのクレーンゲームの景品として出回るなどしたため回収が急がれています。
警察は安易に購入せず、もし、持っていた場合は、警察に届け出てほしいと呼びかけています。
(令和7年9月11日の「NHK NEWS WEB」の記事を参考に、事実を一部変更したフィクションです。弊所で受任した事件ではございません。)
【違法と認定された玩具拳銃は所持しないこと】
従来より、実銃に近い精巧な設計のものや、破壊力を向上させたカスタムを施したものなど、エアガンやモデルガンが銃刀法に抵触するとして処罰されてきた経緯があります。
上記刑事事件例の背景として、インターネット通販サイトで販売されている海外製の玩具拳銃の一部に、真正拳銃と同様の発射機能を有する違法な製品が確認されているとして、警察庁が、このような違法な玩具拳銃の所持者に対して任意の提出を呼び掛けていた経緯があります。
このような危険な構造の製品は、玩具と称していても真正拳銃に該当するため、国内で所持や販売した場合は犯罪となると呼びかけていた中で、上記の事件が起きたこともあり、警察は慎重に捜査を進めて刑事責任の有無を追及していくものと思われます。
【銃刀法違反が刑事事件化するケースの例】
一般に、警察官は「異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある」人を「停止させて質問することができ」ます(警察官職務執行法第2条第1項)。
ただし、同条第3項では、「その意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはない」とありますので、あくまでも職務質問は任意です。
とはいえ、警察官の職務質問の実効性をあげるうえで、必要性・緊急性等も踏まえ、任意の捜査であっても、具体的状況下では警察官による有形力の行使が認められると解されています(最高裁判例)。
また、正当な理由なく、刃渡り5.5cm以上の剣・あいくち、その他、刃の長さが6センチを超える刃物等を所持していた場合、銃刀法違反で罰則を受ける可能性があります。
例えば、刃の長さが6センチを超える刃物を正当な理由なく所持していた場合、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます(銃刀法第31条の18)。
上記事例のように、銃刀法違反と疑われる刃物の所持が、外部から見て取れる場合には、「疑うに足りる相当な理由」があるとして警察官の質問を受けることになるでしょう。
いずれにせよ、警察官の任意の捜査であっても、強硬な態度や反抗的な態度はとらず、疑われている事実を聞き、その合理性を判断したうえで捜査協力に応じるべきでしょう。
一般に、何らかの正当な理由で刃物を所持していたのであれば、警察官に対して真摯にその理由を釈明すべきですし、何の理由もなく警察官の任意捜査に応じない場合には、人に言えない不法な理由で刃物を所持していたとの疑いを強めますので、逮捕リスクを高めてしまうことにつながることを自覚しておくべきです。
ですので、基本的には警察官の事情聴取等の任意捜査に応じつつ、その時点では逮捕されるリスクは低いと思われ、家に帰されることが多いと思われますので、捜査を終えた時点で、刑事事件の可能性についてすぐに弁護士に相談することをお勧めします。
埼玉県で違法な拳銃や刃物等を所持して銃刀法違反で刑事事件化または逮捕されてお悩みの方またはそのご家族は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の法律相談または初回接見サービスをご検討ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、日本で数少ない刑事事件・少年事件を全国規模で取り扱う弁護士事務所であり、当法律事務所さいたま支部は、大宮駅近くに事務所を構え、さいたま市を中心に埼玉県及び関東地方一円の刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
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