【事例解説】逮捕・勾留が長引く? 組織的な集団窃盗の刑事事件
日本で広域にわたって集団窃盗を繰り返した疑いで、窃盗罪等の財産犯罪で逮捕された事件ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。
【集団窃盗の刑事事件例1】
平成12年5月から同14年2月までの間,来日中国人の男らは,窃盗組織をつくり,東北から中部,四国の広域にわたり,主としてスーパーマーケットを対象として金庫を搬出する窃盗を繰り返していた。
被疑者30人を窃盗罪等で検挙し,14都県下における金庫破り事件等約300件の犯行を確認し,組織を壊滅した(静岡,長野,山梨,岐阜,愛知,三重,滋賀,香川)。
【集団窃盗の刑事事件例2】
平成14年6月,男他2人は,大阪市内において,窃取した油圧ショベル等を使用してATMを破壊し,現金約490万円を窃取した。同年11月,窃盗罪で検挙した(大阪)。
(警察庁の「組織窃盗事件の深刻化とその対策」より抜粋)
上記刑事事件では、組織犯罪による特に凶悪な窃盗事件が紹介されていますが、近年においても経済の停滞による国内の収入の低下や失業者の増加、外国人労働者の増加等を背景に、複数犯人による組織的な窃盗犯罪が報道を賑わせています。
【集団窃盗の罪の重さ】
刑法第235条によれば、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」とされています。
窃盗罪のような財産犯罪は、犯罪の成立がすなわち犯罪者の経済的利益につながるため、犯行を重ねる可能性が高く、同種余罪が多数立件されることがしばしば見受けられます。
もちろん、窃盗罪による損失が大きければ大きいほど捜査機関は悪質な犯行であると考え、法定刑の中でもより罪が重くなる可能性が高まります。
また、犯行態様についていえば、一人で犯行を行うことに比べ、複数名で組織的に窃盗を行うことは、役割分担を定め、より機能的に窃盗行為を円滑に行うためであることから、通常の単独の窃盗犯に比べて、非常に悪質な犯行とみなされます。
【集団窃盗の逮捕・勾留手続き】
集団窃盗のように通常の窃盗罪の中でも悪質で、特に余罪が多数見込まれる組織的な犯行グループについては、捜査機関は逮捕に向けて組織的かつ精力的に刑事責任を追及すべく捜査を進めます。
そのため、被疑者らが逮捕された場合、きわめて高い確率で勾留(逮捕に引き続き最大10日間の身体拘束をすること)手続きに移り、裁判所もこのような悪質な組織的犯罪については勾留を広く認める傾向が強いです。
また、勾留には最大10日間の延長もあるため、1つの罪について、最大20日間の身体拘束がなされることが実務上多いです。
また、その後、別の窃盗事実が立件されるたびに、別件逮捕(再逮捕)、そして勾留(再勾留)が繰り返される結果、余罪が発覚するたびに約20日の身体拘束が延々と繰り返されることも珍しくありません。
さらに、このような集団犯罪では、留置所内での口裏合わせ等による証拠隠滅(罪証隠滅)防止の観点から、共犯者らは別々の留置所に収容されたり、家族の方を含む一般の方との面会(接見)が禁止されること(接見禁止命令)も極めて多いです。
【集団窃盗の刑事弁護】
事例のように、もしご家族やご友人が集団窃盗に加わって逮捕された場合は、いち早く弁護士に依頼して、被疑者の方が逮捕されて留置されている警察署に接見に行ってもらうことが重要です。
上記のとおり、集団窃盗で逮捕・勾留された場合、裁判所が接見禁止命令を下した結果、家族の方の面会が許されなくなることが予想されますので、弁護士を介さなければ被疑者の方との意思疎通を取ることは原則不可能となります。
疑われている被疑事実に対して、被疑者の方がどのように認識し、事実を認めるのか否認するのか、あるいは一部を認めるのか、謝罪と被害弁償を進めたいのか等の意思確認を行わなければ、弁護活動の第一歩を進めることはできません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、埼玉県や北関東のみならず、日本全国に展開する、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県内で発生した集団窃盗罪で家族が逮捕されて、どうしたら良いか分からずお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部のご利用をご検討ください。