【事例解説】スーパーのセルフレジで詐欺罪や窃盗罪

【事例解説】スーパーのセルフレジで詐欺罪や窃盗罪

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スーパーマーケットでセルフレジで精算する際に詐欺罪や窃盗罪の疑いで刑事事件化または逮捕されたケースで、レジの通し忘れ等の主張をすることについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部が解説します。

【刑事事件例1】

今月5日、埼玉県越谷市のショッピングセンターのセルフレジで、偽の自作のバーコードを商品に貼り付けて代金を免れた65歳の男が23日、電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕されました。
警察によりますと、男は今月5日午前11時半ごろ、越谷市のショッピングセンターで、冷凍食品など11点、5881円相当をかごに入れ、セルフレジで商品に炭酸飲料など11点分の448円の自作のニセのバーコードを貼り付けて読み取らせて清算し、5433円の支払いを免れた疑いです。
ショッピングセンターからの110番を受け、警察で捜査し、事情聴取や防犯カメラの映像などから容疑者を特定し、23日逮捕しました。
男はラベルプリンターで偽のバーコードを作っており、警察の調べに対し男は「間違いありません」と容疑を認めているということです。

(令和6年10月23日づけのぎふチャンの記事をを参考に、場所等の事実を一部変更したフィクションです。)

【刑事事件例2】

セルフレジで持参した安価な商品のバーコードを読み取らせて商品を安く購入したとして、埼玉県警越谷署は27日、住居不定、無職の女(40)を電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕した。
「蓄えがなく、少しでも安く買い物しようと思った」と容疑を認めている。
発表によると、女は27日午前8時頃、同県越谷市のスーパーでセルフレジを使用した際、持参した納豆や豆腐の割引品計23点(販売価格882円分)のバーコード付き値引きシールを読み取らせ、明太子やプリン、缶詰など計24点(同4916円)を4034円安く購入した疑い。
数日前にも納豆と豆腐の売り上げと在庫が一致しなかったため、不審に思った従業員が防犯カメラを確認して容疑者が浮上。
27日に再び来店したため110番した。

(令和5年12月28日づけの読売新聞オンラインの記事をを参考に、場所等の事実を一部変更したフィクションです。)

【セルフレジの普及と新たな刑事事件】

「統計・データでみるスーパーマーケット」によれば、2022年時点で、セルフレジ設置率は約25%となり、増加傾向が続いているそうで、スーパーマーケット業界内でのアンケートによれば、セルフレジを「新たに設置したい」企業は28.7%、「設置数を増やしたい」企業は12.9%存在するとのことです。

このようにセルフレジの普及が拡大するにあたって問題となるのが盗難リスクです。

セルフレジの導入は、商品の盗難リスクを高める可能性があります。
顧客自身が商品をスキャンするシステムでは、意図的にスキャンしない、あるいは誤ってスキャンを忘れるといった問題が起こり得ます。
そのため、セキュリティ強化が必要となり、これには追加のコストが発生することも考えられます。

【セルフレジの会計時に商品の値段を欺罔する罪】

実際、セルフレジの普及により、これに関係した新たな財産犯罪の報道が続いています。

上記2つの刑事事件例のように、セルフ化によって店員の監視が薄まったことを利用して、店の正規の価格を欺罔しようとする犯罪が起こるようになりました。

刑法第246条の2には、電子計算機使用詐欺罪が規定されており、財産権の得喪・変更に係る不実の電磁的記録を作る等の手段により、財産上不法の利益を得ること処罰しています。
これは別名「コンピュータ詐欺罪」ともよばれています。

財産権の得喪・変更に係る電磁的記録とは、その作出・変更によって財産権の得喪・変更が生じるものを言います。
例えば、オンラインシステムにおける銀行の元帳ファイルの預金残高の記録や、プリペイドカードの残度数の記録等はこれにあたるとされており、小売り店における値段読み取り情報が埋め込まれた商品値段タグも当該電磁的記録に含まれると解されています。

法定刑は10年以下の懲役です。
電子計算機使用詐欺には罰金刑が規定されていないため、検察官が刑事責任を追及すると決断した場合には、必ず起訴して刑事裁判が開かれることになります。

【その他セルフレジ関連の財産犯罪】

また、最初から商品をレジを通さずに未精算のまま持ち出そうという意思で、スーパー等の棚から商品を手持ちの鞄にいれて精算せずに店の外にでるという万引き行為は、刑法235条に規定されている窃盗罪に当たる行為です。
窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑となっています。

このような事例では、「レジに商品を通し忘れる」等と主張することで、犯罪をする意思はなかったと被疑事実を否認するケースがしばしば予想されます。

【セルフレジ関連で詐欺罪や窃盗罪で刑事事件化した方は】

セルフレジに関しては、特に高齢者の方々の「電子端末の操作が分からない」等を理由に、正しい商品の精算ができないケースも予想されるため、各小売店はセルフレジ対応の従業員を立てる等の対策を行っていることもあるようです。

いずれにせよ、セルフレジの精算において、故意に詐欺や窃盗をした場合もあれば、セルフレジの操作ミスや「うっかり商品の精算ミス」をしてしまう場合もあり、その後財産犯罪として刑事事件化した際、どのように捜査機関の捜査に対応するのか、慎重な対応が必要です。

現実問題として、うっかり商品をレジに通さずに店の外に出たことで警察から窃盗の疑いで捜査を受けているという場合に、「電話に気を取られて、うっかり一部商品をレジに通すのを忘れました」という弁解をしたとしても、その弁解がすんなり受け入れられる可能性は低いといえるでしょう。

多くの警察官は、そのような「うっかり忘れただけ」という弁解を聞いた時は、意図的にレジを通さなかったのに言い訳をして窃盗の成立を免れようとしていると疑ってかかってくることが予想されます。
このような場合でも、真実がうっかりレジを通すのを忘れただけであるならば、警察官に臆することなく「うっかり忘れただけ」と供述する必要があるのですが、捜査のプロである警察官に窃盗を疑われている状況で「うっかり忘れただけ」と供述し続けることは、精神的負担が非常に大きいです。

こうした捜査によるストレスで、途中で警察官の誘導に負けて「意図的にレジを通しませんでした」と供述を変えてしまうことのないよう、窃盗の疑いで警察の捜査を受けている場合は、いちはやく弁護士に事件を依頼されることをお勧めします。
事件の依頼を受けた弁護士は、依頼人の「うっかり忘れただけ」という言い分が認められるよう最善の努力を尽くすことになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部は、詐欺事件や窃盗事件などの刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
埼玉県越谷市で、セルフレジに関して詐欺罪や窃盗罪の疑いをかけられてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部まで一度ご相談ください。

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